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ANDRé JOLIVET / JEAN-PIERRE RAMPAL - フルートとパーカッション

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1976 JAPAN Press. Obi/Linernotes(背面) Very RARE.
Cat#: ERA-4004
Genre: Contemporary
ジャケット・コンディション: EX
レコード盤コンディション: EX

試聴音源は、B1、独奏フルートのための五つの呪文、第四章の一部。
<https://audition.undergroundgallery.jp/ERA-4004_B1_chap4.mp3>

-----------------ライナーノートより:

Andre JOUVET ジョリヴェの音楽

1974年12月19日、パリで心臓発作のために世を去 ったアンドレ・ジョリヴェ(1905年8月8日パリ生 まれ)が今世紀のフランス作曲界を代表する人物で あることは、ここにあらためていうまでもないこと かもしれない。ミョー、オネゲル、プーランクなど のいわゆる〈六人組〉に代表される19世紀末生まれ のグループを今世紀のフランスの作曲家の第1世代 とするなら、メシアン、ルシュール、ボードリエ、 それにジョリヴェを加えたく若きフランス>の作曲 家たちは、明らかに第2世代グループということが できる。そして、この「人間性への回帰と人工的な 探求の放棄」を目ざした《若きフランス〉のメンバ ーの中でも、ジョリヴェは生涯一貫して不変の立場 から音楽をみつめ、作曲を行いとうした代表的作曲 家であったといえよう。

ジョリヴェの活躍した1930年代から今世紀後半へ の第2次大戦をはさんだ時代は、じつにさまざまな 様式や技法の出現に満ちた時代であったが、彼はけ っして技法的教条主義におちいることなく、誠実に 自己の音楽と音楽表現の方法を求め続けた。

それでは、ジョリヴェの長い創作活動を一貫して ささえてきたものは、いったい何だったか。それは、 たぶん1968年、在仏の作曲家、丹波明氏のインター ヴューでの彼のつぎのことばに要約されているといえよう。

一私は、たとえば、呪文や魔法を源泉とし、人 間の集団的宗教性が表現されている、そのような音 楽を私の作品の中に取り入れるよう努力しておりま す。ここにある種の精神性があると言えると思いま す。音楽が精神性を見い出した時に、本質的な真実 の役割を社会の中に占めることができると信じてい ます。といっても、ミサや宗教音楽しか書かないと いうのとはまったく違います。私の言う精神性とは、 特定の宗教や教義を超越したもので、汎神論的な立 場に結びつくかもしれません。一

つまり、く芸術〉化されてしまった音楽がいつの間 にか見失ってしまっていた根元的な生命力を音楽に 回復し、それを人間の精神性(上記のジョリヴェの いう意味での)にいかに効果的に作用させるか。も ちろん、作曲技法や様式の上では、ジョリヴェ自身 の作風は初期から晩年にかけて、それなりの変化を 見せてはいる。だが、彼の音楽はその目的を見 失うことはけっしてなかった。

ジョリヴェは、今世紀前半のもっとも注目すべき 作曲家、早く生まれすぎたためにその創作活動の最 盛期に正統な評価をうけることができなかった作曲。 家、エドガー・ヴァレーズ(1885~1965)の唯一の 作曲の弟子でもある。ヴァレーズとの出合いは1930 年のことだったが、ジョリヴェがこの師から受けた 影響は、たぶん彼の生涯の方向を決定付けるほど大 きなものであったに違いない。師と弟子とは、響 き〉が人間精神に与えるある種の神秘的・呪術的作 用を音楽の不可欠の要素と考える点で一致していた。 そして弟子はこの師から、そうした響きを既成 の作曲技法の枠の外で探す態度と方法を学んだので ある。たとえば、ジョリヴェの作品にみられる打楽 器や、さまざまな楽器の非伝統的な奏法、あるいは オンド・マルトノのような新しい楽器に対する強い 興味。これなどはこの師と弟子がく響き〉の新しい、 だがたんに新しいというだけではなく、音楽に生命 力を回復する手段となりうる響き〉の探求、とい う点で同じ路線上に位置していることを示している。 もちろん、新しい響き〉の探求は現代の作曲家に 共通する課題だが、それが目的ではなく、手段とし て強く意識されていることに、注意しよう。

では、ジョリヴェがこの目的のために使用した手 段としての技法の特徴はどこにあるのだろうか。彼 は音楽のもつさまざまな構成要素の内でも、メロデ ィーとリズムがもつ決定的な力を重視する。もちろ ん、メロディーとかリズムというものの概念そのも のは、今日の最新の音楽にあっては変質してしまっ ているが、あくまでもく理解しやすい)音楽を求め たジョリヴェの音楽様式の枠内では、古典的概念と してのメロディーやリズムのもつ役割はたしかに大きい。

彼は《12音技法〉にも古典的く調性音楽にも組 しない独得な立場でく響き〉の形成を追求したが、 そうした面でユニークなのは彼自身二重低音》と 呼ぶ、本来、物理的に溶け合わないバス2個の上 に、それらの自然倍音による響きを形成して、安定 した響きを得る方法である。また、形式においては、 今古を通じて見られる変化と統一)を、短い部分 相互のく対比〉の連続を根底において達成しようと する意図が強く見られる。これはある意味でフラン ス音楽の伝統的な構成原理でもあり、また、彼がく協 奏曲>(concerto の本来の意味は競奏曲〉、つまり 独奏楽器とオーケストラが競い合ってく対比を形 成するというものである)を好み、さまざまな楽器のために今世紀の作曲家としてはめずらしく12曲も 作曲していることと無関係ではない。

最後に、ジョリヴェとフルートとの関係について 述べるなら、この楽器は、生涯ジョリヴェにとって 魅力的な楽器だったと思われる。その最大の理由は、 フルートが人間の生命活動の根底にある呼吸》と 不可分な楽器だということだろう。もちろん、そう した意味ではあらゆる管楽器がそうなわけだが、中 でもフルートは、呼吸がそのままく響きとなるデ リケートな楽器として、この作曲家の中で特別な意 味を持っていたといえるだろう。


楽曲への覚え書

<フルートと打楽器のための協奏的組曲>(フルー ト協奏曲第2番)は、1965年に作曲され、翌年ランパ ルによって初演された作品である。さきに述べてき たジョリヴェの音楽観と作曲技法が、きわめて高次 の次元で結集した作品であり、つぎの4つの楽章か ら成る。すなわち、第1楽章=く中庸に>第2楽章= <安定した調子で>、第3楽章=<大胆に>第4楽章= <静かに>。

この作品で一貫していることは、たぶん、多彩な 音色をくり広げる打楽器たちが、従来この楽器に与 えられていたリズム楽器》の役割を越えて、豊か に響き〉として語りかけてくることだろう。いわ ばここで打楽器はより複雑なく二重低音を奏する のであり、あたかもフルートはその倍音として柔軟 に響く部分音のように扱われている。打楽器が生み 出す多彩な音色空間でのフルート旋律の飛翔。第2 楽章はアルト・フルートによって奏される。ここで のフルート奏者、初演者のランバルに捧げられている。

<フルートと弦楽オーケストラのための協奏曲>( フルート協奏曲第1番)は、1949年の作品であり、19 50年、ランバルによって初演された。全体はつぎの 2つの楽章から成る。すなわち、第1楽章=イアン ダンテ・カンタービレーアレグロ・スケルツァン ド>、第2楽章 ラールゴーアレグロ・リソルー トン。

この作品でも、ジョリヴェのコンチェルト=競 奏曲》という楽曲形成原理はきわめて明確に示され ており、いわば、弦楽オーケストラが示すくテーピ> に対して、独奏フルートはアンチテーゼ)とし て作用している。それは、ジョリヴェの音楽観を理解しようとするならば、ひとつの設定された物質的 世界に対して、それに反抗する精神的な世界の主張 と解釈することも許されるだろう。もちろん、われ われの生きる現実の世界が、この両者の葛藤を含む ものであること、そしてこの作品をその音楽的反映 として獲えることは、ひとつのこの作品へのアプロ ーチの方法となるだろう。

独奏フルートのための《五つの呪文》は1936年の 作品であり、この作曲家の呪術への強い、しかも題 材的にもダイレクトなかたむきを示す一連の作品の ひとつである。また、ジョリヴェがこのフルートと いう楽器への特別な没入を見せた最初の作品として も意味を持っている。つまり、この作品でジョリヴ ェはこのく息を吹き込む〉ことで響く呪術的な楽器 に、この時代としては不可能と思えるほどの要求を した。1 = <反渉者たちを迎えるために会話が 平穏に行われるために一、2日生まれる子供が 男の子であるために>、3 = く農夫の堀るからやが て生まれる収穫が豊かなものとなるために〉、4= く存在と世界とのはれやかな合体のために>、5 =<首 長の葬儀でその魂の庇護をうるために〉といった標 題がさし示すように、この作品はジョリヴェの呪術 指向が直接的な標題として現われた1930年代の作品 を代表する1つだといえよう。

フルート独奏のための《呪文》は〈イメージが象 後となるために〉という歌題を持つ1937年の作品で 独奏フルートは<C管〉でも4度下の<G管》でも よいとされている(このレコードでの演奏は、G管〉 つまりアルト・フルートによる)。曲はくじゅうぶん に音を保って〉と指示された単一楽章の音楽だが、 ここではフルートで奏されるメロディーが、この時代の ものとしてはめずらしく柔軟な動きを示している。 このメロディーだけに表現をたくした作品は、最後 までどこに行き着くのか知られないような運動を示 すが、このような息の長い旋律の形成法はまた、ジ ョリヴェが生涯を通じて示してきたひとつの神秘的 音楽の形成の方法のひとつでもある。

(武田明倫)

【ジャケット・コンディション一覧表】
CC:CORNER CUT / カット盤 - 角が切り落とされたもの
DH:DRILL HOLE / カット盤 - 丸い穴が開けられたもの
SC:SAW CUT / カット盤 - 細いスジ状のきりこみがはいったもの
WD:WATER DAMAGE / 水濡れ
SS:SEAM SPLIT / 底、縁割れ
RW:RING WEAR / ジャケットにレコード盤の形に沿って円形状に擦れがある
WC:WRITING COVER / ジャケットへの書き込み
SOC:STICKER ON COVER / ジャケットにシールが貼ってある

【レコード盤コンディション一覧表】
S:SEALED / 新品未開封
M:MINT / 開封済み、新品同様のきれいな状態
NM:NEAR MINT / MINTに比べ若干の使用感のある状態
EX:EXCELLENT / 多少の傷、スレあり。音質には支障のない良好の状態
VG:VERY GOOD / 目に見える擦り傷やカビなどにより、プチノイズなど若干音質に問題がある状態
G:GOOD / 頻繁なノイズ音、また音質の劣化のある状態
P:POOR / 針飛びや欠陥などにより再生不能な箇所がある状態

※あくまで中古盤ですので、使用感などございます。
新品同様のコンディションをお求めの方は、ご購入をお控えください。

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