「バレアリック・ミュージック」このぼんやりした言葉から連想されるイメージは千差万別だと思います。

そもそもは、1980年代に、スペインはバレアレス諸島の小島で、昔はヒッピーやアウトサイダーなセレブリティ達が集まるカウンター・カルチャーのメッカでもあった、イビサ島のパーティーやラウンジルームでプレイされていた音楽を指していたと思います。その中心にいたのがDJ ALFREDO。ロック、ジャズ、ソウル、レゲエ、映画音楽、ニューエイジ、アシッド・ハウス、ありとあらゆる音楽を一つのストーリーに仕立てプレイするオープンマインドなスタイルが、「バレアリック・ミュージック」の始まりとされています。

DJ ALFREDOがレジデントを勤めていた"Ammnesia"をはじめ、"Pacha"、"Ku"といった伝説化しているベニューで行われたパーティーは、UKを中心に大きなムーブメントとなった"セカンド・サマー・オヴ・ラヴ"へも多大な影響を与えました。("セカンド・サマー・オヴ・ラヴ"にて中心的だったUKのDJ達の多くは、イビザで体験したALFREDOの影響を語っています)

当時のALFREDOのプレイリストは、RHYTHIM IS RHYTHIM 、JAMES BROWN、BOB MARLEY & THE WAILERS、PINK FLOYD、SADE、LOU REED、MANUEL GOTTSCHING、GILBERTO GIL、NINA SIMONE、JUNGLE BROTHERS、LIAISONS DANGEREUSESと、ジャンルと時代を超えた自由な選曲でした。USシーンに例えると、LARRY LEVANの"Paradise Garage"、DAVID MANCUSOの"Loft"、FRANKIE KNUCKLESの"Warehouse"と同趣といえると思います。


そんな、ジャンルレスでボーダレスだった「バレアリック・ミュージック」のイメージが大きく変わったのが90年代の中盤。当時、「バレアリック・ミュージック」の象徴的なシリーズとして世界的な大ヒットとなっていた、コンピレーション"Cafe Del Mar"の影響もあってか、「バレアリック=サンセットでチルアウトするムード・ミュージック」というイメージに変化していったように思えます。

音楽的な内容の深さよりも、快楽的な雰囲気を重視したサウンドが多かった為、当時を知るハードコアな音楽フリークであればあるほど、「バレアリック・ミュージック」という言葉に、距離をおいている方も多く、正直いって僕も敬遠していました。

しかし、00年代以降、「バレアリック・ミュージック」と形容される作品は、DJ ALFREDOが定義した本来の形、オープンマインドでジャンルレスでボーダレスな音楽を指します。しかも時代と共に変化もあり、特に2010年以降は、近年のニューエイジ / アンビエント・リバイバル、辺境地音楽の発掘の流れともリンクし、より深さも広さも極まってきています。

クラウトロックの中にも、クラシック音楽の中にも、ジャズの中にも、映画音楽の中にも、そしてデトロイトテクノの中にも「バレアリック感覚」を持った作品があります。「バレアリック」とは、ハウス、テクノ、ヒップホップ、ジャズ等、DJカルチャー以降に存在する全てのジャンルのクロスポイントだと言えると思います。どんなジャンルに属している人でも、共有出来る感覚です。

「バレアリック・ミュージック」という言葉に、どこか浅薄な印象を持っている硬派な音楽ファンの方も、そのイメージを取り払って、底なしの世界へダイブしてみませんか? 新しい音楽の楽しみ方、そして知らない音楽との出会いが待っているはずです。

というわけで、UG的視点で、オープンマインドでジャンルレスでボーダレスな「バレアリック・ミュージック」をセレクトしてみました。


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